健康生成力SOCと人生・社会 ――全国代表サンプル調査と分析

2017年刊。 山崎喜比古 監修・戸ヶ里泰典 編/ 定価(本体2,500円+消費税)/ A5判並製/256頁/ ISBN978-4-8420-6590-8

◆大規模調査によってSOCスケールの日本における全国標準化をはかる◆
イスラエルの健康社会学者である、アーロン・アントノフスキー博士は、イスラエル在住の更年期女性を対象に、第二次世界大戦時にユダヤ人の強制収容所に入所していた経験のあるなしで健康度の比較を行った結果、経験なしの人の健康度は、良好・不良がほぼ50%の分布だったのに対し、経験がある人は、良好が29%、不良が71%に上った。
 そこから博士は良好の29%に着眼し、なぜ極限のストレス経験があるにもかかわらず良好な健康状態を保っていられたのか? 「何が健康をつくるのか?」 という視点で研究を続け、過酷な経験をしても、精神的・身体的に自分を守るだけではなく、むしろその経験を成長の糧にできる要因を見出し、SOC(Sense of Coherence:ストレス対処・健康生成力)として概念化した。
 そして博士は健康生成論を提唱し、さらにSOC概念を中核とした健康生成モデルを構築した。
 北欧各国、カナダ、英国で行われたアントノフスキー博士のSOCスケールを組み込んだ大規模一般住民調査は2000年代には度々学術研究として報告され、実態の解明と実践への示唆が繰り返されたが、日本でもこのたび全国的な大規模調査が行われ、日本におけるSOCスケールの標準化をはかったのが本書である。保健系、看護系、医療系、福祉系など多方面に渡る領域の初学者、看護、福祉の実践領域の臨床の方々必携の書。


書籍 主要目次
序 章 ストレス対処・健康生成力SOCの概念的基礎
  健康生成モデルとは/SOCとは何か/SOCとその近接概念についてどう考えるか/SOCの形成・発達・向上とそれに向けたアプローチの可能性
第1章 本書のねらいと調査の概要
  本書の背景と問い/「暮らしと生きる力に関する全国調査」の方針と計画/調査項目の設定/実査とその結果
第2章 SOCスケールの使い方
  13項目版SOCスケールの標準化/SOC−13の下位尺度使用の可能性/SOC−13下位尺度の標準化/3項目版SOCスケールの修正と標準化の試み/まとめ――SOCスケール使用方法 第3章 人生経験によってSOCはどう変わるか
  人生経験とSOCとの関係/調査項目と分析モデルについて/中学3年生までに経験した出来事・家族関係とSOCとの関係――分析結果。分析結果の解釈と課題/まとめ――今回の分析から明らかになったこと
第4章 社会経済的地位によってSOCは左右されるのか――SOCと統御感との比較
  社会経済的地位・SOC・統御感/検討に用いる変数と分析モデル/分析の結果
第5章 SOCと女性のライフコース
  女性のライフコースに関する動向とSOC/用いる項目と分析方法/分析の結果/本章のまとめ
第6章 SOCが高い人に見られる社会とのかかわりとは――他者とのかかわり・地域活動への参加を中心に
  社会とのかかわりとSOCとの関係/SOCと社会関係に関する先行研究/データ分析結果からわかること
第7章 ヘルスリテラシーとSOC
  ヘルスリテラシーとSOC/用いた項目と分析モデル/結果/考察/まとめ
第8章 ストレッサーと健康とSOC
  ストレッサーの対処におけるSOCの機能・効果/分析の方法/経験したストレスの量とSOCの関係性/経験したストレスの量が健康に与える影響とSOCの関連性/まとめと結論
第9章 SOCに関連する要因は国によって異なるか――SOCの関連要因の国際比較
  国際比較研究の意義と課題/SOCに関する文化間比較の研究と本章の目的/使用したデータおよび変数、分析方法/SOCの関連要因の国際比較結果/結果の解釈と本章のまとめ
第10章 SOCとソーシャルキャピタルの国際比較
  健康生成論とソーシャルキャピタル/データ分析の方法と扱う項目/結果/結果の解釈まとめ
終 章 応用への道と残された課題
  SOC得点はアウトカム評価指標として使えるのか/SOCの形成・発達・向上に向けての応用的意義/SOCと周辺概念の理論的整理に向けての試論/SOCの国際比較研究に向けて